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音楽の流れる店

 セントラル楽器店は、コロムビア、ビクター、テイチク、マーキュリーなどのレコードメーカーの特約店として営業をしていました。店舗には島唄やクラシック、流行歌が流れ、道行く人たちは、しばし立ち止まって聴き入っていました。
 
 まだまだ蓄音機(レコードプレーヤ)の普及は進まず、ピアノ、オルガン、ギター、レコードなどの販売の6割は奄美の小中学校、高等学校でした。この頃、地元でのヒット曲のレコード売上げは、せいぜい100枚でした。ベストセラーは、【奄美小唄】の1500枚で、ダントツでした。とある日、入港船から流れてきた歌がこの【奄美小唄】でした。魅入られたように港まで走って行って
「今かかっていたレコードの曲名を教えてくれ!」
と船の事務長に尋ねたいわく付きの名曲でした。

 この年の4月に数え年16歳の井口賢勇(いぐちけんゆう)君が入社しました。その後上阪、滋賀県の企業に就職し提案型の猛烈社員として高い評価を受け、中卒の身でありながら常務にまで上り詰めた頑張り屋でした。我が社への在籍はわずか1年でしたが、彼は、折に触れては近況を手紙で知らせてくれたのでいつも陰ながら応援しておりました。