元ちとせの世界 その2
■嘉徳なべ加那
これは、ちとせの生まれ育った嘉徳に200年ほど前に実在したヒロインを唄ったものである。
歌詞の大意は、
「嘉徳のなべ加那(尊称)はどのような生まれをしたのだろう、親に水を汲ませ水浴をしているよ」というものだ。
このなべ加那は、
1.親を使うほど親不孝な娘であった、
2.親が身の回りの世話をする身体不自由者だった、
3.親がかしずくほどに神高い女性だった
と諸説伝わっている。
彼女の哀愁漂う歌は、いずれのなべ加那を唄ったものなのだろう?
同集落にあるなべの墓前でちとせさんが倒れていた花瓶を起こした。
身内の墓参りの時の何気ない仕草であった。
そこに住んでいた彼女にとってなべは、身近な存在なのだ。
彼女の日常に伝説の世界が同居していた。
あの日、生まれジマと共に歩む少女は光り輝やいていた。
「故郷・美ら・思い」
情念のこもる唄
情景を謳いあげる唄
彼女の独自の世界が展開する!
島唄界でも最高の語り部であった。
■元ちとせの島唄
何も考えずに、まず、聴いて欲しい。
悲しい唄、楽しい唄、悠長な唄、哀愁漂う唄・・・。
感じ取って欲しい、この唄者の感性を。
そして、一緒に歌って欲しいのだ。
ポテンシャルの高さがわかるだろう。
裏声だけではない、幅広い音域を自在に舞う美声だ。
ブレスの場所すらわからないほど歌い続ける。
彼女の20歳、25歳とその進化に従った島唄を採り続けたかった.。
また、いつか、この続きが作れたらと思う。
20年後?30年後?? 気長に待とうか・・・。