大島ひろみの世界

■唄者としての大島ひろみ

昭和38年頃、奄美新民謡を主に歌った。
彼女は聴く人に歌ごころを伝える能力に長けていた。
幼少から島唄を聴く環境にあったが正式に歌ったことはなかった。

「ひろみの唄は 島唄じゃなく歌謡曲だ」

一部の人たちに揶揄されたが支持する人も多かった。

「これまでの島唄は何て歌っているのか聴き取れなかったけれど大島ひろみの唄を聴いて島唄に興味を持った」と、女性から圧倒的な支持を得た。

島唄に新境地が生まれた。

従来、島唄は聴き取りにくいものが高く評価されていた。
他シマ(集落)に盗まれない工夫が施されていたのだろうか?
確かに、昔の島唄は歌詞を見ないと理解できないものが大半であった。
島唄に新しい感覚が生まれた。彼女の唄は、古くて新しい・・・。

歌い手に素晴らしい資質があってこそ、古来の唄が鮮やかに蘇えるのだ。

<奄美島唄コラム | 坪山豊の世界>