唄者とは?

■語源

島ん人(しまんちゅ)、家人(やんちゅ)・・・人の所属・身分を表す時には、人(ちゅ)が付きます。

磯者(いしょしゃ・漁師のこと)、医者、唄者と技能者をあらわす呼称には者が付くと思し召せ。

島唄を歌う人は、唄者(うたしゃ)です。

■資格

国家試験やライセンスはありません。

しかし、島唄コンクールでも、いくつかのチェックポイントが、あります。
1.素敵な声の質。
2.メロディを正確にとらえる。
3.島唄の言語(島口=奄美方言)の部分がしっかりしている。
4.なつかしい歌唱(なつかしい=感動的)

コンクールで上位入賞した場合、唄者の資格が自然に発生するのではないでしょうか?
また、おらが町や村の1番は、すでに誰もがみィんな知っているでしょう?

舞台 新築した家での祝唄、結婚披露宴での祝唄、年の祝での祝唄、○○ショーといったイベントの集客で行うゲスト要員、夏祭りなどでの演目のひとつ、島外の要人の歓迎会、各島唄のコンクールetc.

■職業

未成年(学生)を除くと、
1.自営業
2.会社員
3.主婦

これらが大半で、唄者に専念している方は、1人もおりません。
これが、沖縄との大きな違いではないでしょうか?
みなさん、本業を持っていらっしゃいます。

■唄者と声者

1.島唄のレパートリーが多いこと。昔はそういう人をコンクールでチャンピオンと位置付けたこともある。
2.唄の知識が豊富で、曲の由来を知っている=歌心がある。
3.人格的に優れている。
※唄がうまいだけでは、しょせん、声者(くいしゃ)どまりなのである。

■タブー

タブー=やってはいけないこと。
唄者も人間だもの・・・やっちゃうのです。

新築祝いで南風(台風)を招く歌詞を歌ってしまった・・・。
エンギが悪いのでこれは、イケませんネ。

糸くり節は、男女の別れ唄です。
もちろん、結婚披露宴では、ボツ!

らんかん橋節や太陽ぬ落てまぐれ節は、1番で不安、2番でその打消しを行う2つでセットになった歌なのです。
1番だけで終わると礼を欠きます。

北大島と南大島では唄が祝唄になったり、全く逆だったりもします。

唄者は、野球でいうと、ルールに精通した4番バッターなのです。

<奄美島唄コラム | 大島ひろみの世界>