阿世知幸雄(あせちさちお)先生の島唄教室の生徒さんたちの合作CDを制作しました。これは笠利節でまとめていまして、歌い手は、山下聖子・平山淳子・西俊子さんの3人です。
当社の試みとして、島唄の合唱なども収録しましたが、これがまた、なかなかいい味を出しています。いつもはのんびりとした雰囲気の山下聖子さんですが、聴く者を圧倒する迫力ある唄を歌ってくれました。平山さんの奥ゆかしい唄と、西さんの安定した唄で、それぞれが引き立てあってまとめられました。
姉妹(うなり)とは、奄美にある姉妹神信仰(うなりがみしんこう)に根ざした言葉です。かつて海の道を行く者たちが旅の無事を望んだ、その祈りの対象は血縁の姉妹でした。彼女らの神秘的な力で事なきを得たという話が数多く、今に伝わっています。確かに、妻といえども別れたら他人ですが、不変性から言ったら、切っても切れない血縁の女性の方がご利益がありそうです。そういう観点から生まれてきた信仰なのかと私は勝手に理解しています。
この後、貴島康男君のCD、森山ユリ子さんのCDと続き、この年は、笠利(かさん)節、東(ひぎゃ)節、笠利節と交互に制作をしましたが、それぞれが特色のある作品となりました。
【姉妹たちの唄が聴こえる CD収録曲】
朝花(あさばな)/黒だんど/上がれ日ぬはる加那/らんかん橋/曲がりょ高頂(たかちぢ)/やちゃ坊/あんちゃんな
とらさん長嶺(ながね)/行きゅんにゃ加那/長菊女(ちょうきくじょ)/東れ(あがれ)立雲/嘉徳(かどく)なべ加那/ヨイスラ/まんこい
請けくま慢女(まんじょ)/雨ぐるみ/糸くり/かんつめ/長雲
(全19曲)
【あんちゃんな】と【雨ぐるみ】は、異名同曲なのですが、前者は、軽快で楽しく、後者はゆったりとして情緒があります。
歌い手によって、また歌う土地柄で、唄は千変万化します。こうして生き物のように変わり続けたからこそ、奄美の島唄が長く愛唱されてきたといえるのではないでしょうか。
「人の数だけ島唄がある」
けだし名言です。