西和美(にしかずみ)さんは、瀬戸内町西古見(にしこみ)のご出身で昭和59年に「嘉徳(かどく)なべ加那」で奄美民謡大賞新人賞、翌年に「雨(あま)ぐるみ」で大賞を受賞した実力者です。
坪山豊さんに師事し、その天分を伸ばしました。
続きは下記書籍「大人青年」よりどうぞ
【大人青年】
【西和美の世界CD収録曲】
朝花(あさばな)/俊良主(しゅんりょうしゅ)/黒だんど/らんかん橋/諸鈍(しょどん)長浜/雨ぐるみ/長雲/塩道(しゅみち)長浜/東(あが)れ立雲
野茶坊(やちゃぼう)/糸くり/すばやど/ヨイスラ/上れ世ぬはる加那/長雨切りゃがり/イトゥ
嘉徳(かどく)なべ加那/行きゅんにゃ加那/今ぬ風雲/かんつめ/渡しゃ
(全21曲)
【西和美傑作集カセットテープ収録曲】
朝花(あさばな)/黒だんど/らんかん橋/東(あが)れ立雲/長雲
塩道(しゅみち)長浜/野茶坊(やちゃぼう)/行きゅんにゃ加那/雨ぐるみ/
上れ世ぬはる加那/かんつめ/ヨイスラ
すばやど/糸くり/イトゥ
嘉徳(かどく)なべ加那/渡しゃ
(全17曲)
唄者・福山幸司さんと奄美島唄
龍郷町芦徳(あしとく)の福山幸司(こうじ)君は、セントラル楽器のOBでもあり、彼の南政五郎さんを彷彿させる唄声に魅せられカセットテープ制作のための録音を行ないました。彼の、ややかすれた野趣あふれる裏声が、何か遠吠えのような哀愁をおびて感じられました。彼は録音の3年後の平成10年、奄美民謡大賞で大賞を受賞するのですが、純朴な唄はそのままです。
この製品を作るに当たって、従来の製品のイメージを断ち切ろうと息子たちは考えました。
まず、1つ目が【表紙】でした。従来の、島唄レコードの表紙の定番というべき【紋付袴に三線(サンシン)】というパターンを脱却すべしと息子たちは考え、大島紬の泥染を生業とする幸司君の職場まで行って表紙撮影を行いました。筋骨隆々の幸司君の素朴な泥染め風景を収めました。まさか紋付袴で泥染めはありえませんが…。
2つ目に商標を変えたことでした。かつては【大島民謡】、最近まで【奄美民謡】と表示していた島唄の名称を、今回から【奄美島唄】と変更しました。The・BOOMのヒット曲【島唄】の名が全国的に広まったから、今後、【島唄】という呼び名はそのままで通用すると判断し、その上で沖縄のそれと区別するために【奄美島唄】としたのです。
もともと、【島唄】という名称の発祥地は奄美大島なのですから、これは胸を張って呼ぶべしと、長男が命名しました。この名は結構広まっていき、マスコミでもちょくちょく使われているように感じられますが、いかがでしょうか?
阿世知幸雄先生と唄者・中田和子さん
龍郷町安木屋場(あんきゃば)のご出身の阿世知幸雄(あせちさちお)先生と同町戸口(とぐち)ご出身の中田和子さんとは、石岡春代さんの録音でご一緒しましたが、中田さんが講師で島唄を歌い、阿世知先生が三線(さんしん)を弾き相方を務めるなど、公民館講座を精力的にこなすお2人でした。
阿世知先生のご推薦があり、中田和子さんの島唄録音を行ないましたが、西和美さん、福山幸司さんと、録音が立て続けで個人的には体力面で大変きつい時期でした。朝から晩まで、録音したテープを何度も聴いて、
「ここは三線のバチをこすっている」
「三線のバチを二度打ちしている」
「この歌い方は、いつものあの人のものに比べるとあまり良くない」
などなど、荒さがしをするのが仕事ですから、結構疲れるものです。こうした録音物(テープ)を世に出すと言う事は、他人の批評を受ける覚悟が必要です。その人の名誉のためにも、ベストのものを作り上げねばなりません。わりとスムーズに阿世知先生の華やかな三線伴奏と中田さんの教本のように安定した島唄が収録されましたが、この時、2度録音した曲のどちらを選ぶかで阿世知先生と中田さんがちょっとした言い争いをしました。理由が面白いのです。
阿世知「先に録音した方が、三線が納得いくからそっちがいい!」
中田「後の録音の方が、上手に歌えたからこっちがいい」
中田さんの唄がメインですので、後の曲を採用しましたが、2人のこだわりに好感が持てました。
この当時、阿世知先生は伊津部町の朝日公園の近くで三味線店と三味線教室を開いていまして、その後、古見本通り沿いの奄美小学校近くに移りました。
島唄や三線などの知識も豊富で、島外の島唄ファンや島唄をあれこれ調査する人たちには、彼の所を紹介しています。また、三線の他に、手製の竪琴なども演奏する器用な一面もあります。
【中田和子傑作集 カセットテープ収録曲】
朝花(あさばな)/俊良主(しゅんりょうしゅ)/行きゅんにゃ加那
よいすら/黒だんど/らんかん橋
徳之島節/上がれ日ぬはる加那/渡しゃ
長雲/花染め/俊金(しゅんかね)/芦花部(あしけぶ)一番
雨ぐるみ/今ぬ風雲/嘉徳(かどく)なべ加那
太陽(てだ)ぬ落(う)てまぐれ/六調
(全18曲)