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徳之島一周模範走行

 1月8日に名瀬の港を出発した私たちは、オートバイ20台で隊列を組み、徳之島一周を行いました。オートバイは安全で快適な乗り物だという事をアッピールする意味も含まれていましたので、この時は、時速20Kmの超・安全運転でした。

 先導車は、弟・光宝(みつたか)、その後を、徳之島チーム・政野班、伊仙村チーム・岩山班、天城村チーム・白間班と続き、その後ろに整備班が控え、しんがりは、私と名瀬警察署の盛隆重部長の乗った宣伝カーでした。官民一体となってのどかなツーリングを行いました。

 各集落の入口では、
「必ず一旦停止か徐行で隊列を整え、威風堂々と行動する。(当時の予定表より)」
と徹底しました。集落内では、子供たちがオートバイの爆音につられて飛び出す恐れがあるからと間隔をあけて徐行しました。安全に、安全に!を心がけ、かなりの神経を使いました。出発2分前のベルや出発のベルなどの合図をあらかじめ決めてあったので、まとまりの良いツーリングが行えました。こうして、オートバイに対する憧れや、利便性を島内に大いに浸透させる事が出来ました。

 その時のツーリングのスケジュールです。
9日 亀津(かめつ)、喜念(きねん)、面縄(おもなわ)、伊仙(いせん)、鹿浦(しかうら)、犬田布(いぬたぶ)の伊仙村コース
10日 亀津、母間(ぼま)、花徳(けどく)、平土野(へとの)の大集落狙い撃ちコース
11日 平土野、当部(とうべ)、平土野、岡前(おかぜん)、松原、与名間(よなま)、手々(てて)、山(さん)、花徳、平土野の主に天城村制覇コース
12日 平土野から亀津へ行き、座談会。
13日 名瀬へ戻り。

徳之島一周模範走行

 このツーリングの最中、1月11日奄美大島で私の長女が生まれたという知らせを聞き
「ヤマトナデシコ バンザイ。」
の祝電を母間の郵便局から打ちました。
嬉しくて、いっぺんに疲れも吹き飛んでしまいました。

オートバイにまたがり神社参拝

 この年に、ヤマハオートバイの販売キャンペーンの一環として、名瀬市井根町の高千穂神社の階段をオートバイで駆け上がるというイベントを行いました。11月21日当日は、小雨混じりの生憎の天候にもかかわらず、神社は大変な人だかりでした。期待半分、興味津々の観衆の顔、顔、顔が目に入ってきます。

 この階段登りに成功すれば良し、失敗すれば当然、皆の嘲笑が待っています。しかし、この時は、そんな不安よりも国産のオートバイの性能を島民に知らしめ、普及させたいという気持ちで一杯でした。それほど、私もオートバイに熱を上げていた時期で、失敗した時の事はまったく考えていませんでした。

高千穂神社 階段の登り口 ヤマハ175㏄

 傘を差したギャラリーが見守る中をヤマハの125CCのオートバイで一気に神社の階段を駆け上がりました。練習を何度もやっていたので本番は、さながら雲に乗っているようにスイスイ走りました。
「ようし、いけるぞっ!」
と思った矢先に、神社の本殿にある最後の急な階段で、馬力が足らず途中で止まってしまいました。

 最後の締めが決まらないと喜びも半減です。急遽、ヤマハの175ccオートバイに乗り換えてすんなりとゴールしました。
神主の松元さんが
「オートバイに乗ってここまで参拝に来たのは、あんたが初めてだ。」
と、ひとこと。
この後、お神酒をいただいてイベントを終了しました。

高千穂神社参拝 昭和32年11月21日

 娯楽の少なかった時代でしたので、これはしばらく、町の話題になりました。