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南海日日音楽祭

 この年の2月13日、【南海日日音楽祭】というピアノとエレクトーンのコンクールが、名瀬市の中央公民館で開催されました。主催は、南海日日新聞社で大島教育事務局、名瀬市教育委員会、NHK名瀬通信部が後援、セントラル楽器が協賛でした。

 これの前身は、奄美群島の日本復帰前に行われていました【北部南西諸島音楽コンクール】というもので、昭和21年からの数年間、南海日日新聞社主催の催しとして行なわれ、奄美群島内の音楽普及を願ったものでした。このコンクールから、後に世界的なバイオリニストとなる久保陽子さんという少女が旅立っていったのですが、
「第2の久保洋子を探せ!」
という命題をもって、復活させました。

 コンクールは、ピアノと電子オルガンの2部門に分かれ、ピアノの方の審査員はピアニストの弘中孝(ひろなかたかし)さん(久保陽子さんのご主人)、エレクトーンは九州女子短期大学の講師の松宮敬(まつみやたかし)さん、福岡女子短期大学講師の川端正朗さん、ヤマハ音楽振興会の後藤雅也さんでした。
 特にピアノ部門は、申し込みだけでも100名を超える激戦区でしたので、セントラル楽器5階ホールで予備審査を行い、そこを勝ち抜いた小学2年生から一般までの27名が本選へ進み、奄美小学校6年生の本郷真美(ほんごうまみ)さんが最優秀賞を獲得しました。本郷さんは、後に武蔵野音楽大学へと進み、その才能を開花させました。また、エレクトーン部門の最優秀賞は、私の次女でした。

 後に、ピアノの審査員は神野明(じんのあきら)さん、有森博(ありもりひろし)さん(ピアニスト)とかわってゆきましたが、いずれの方もたいそうな実力者でした。
 彼らのコメントをひとつ紹介すると
「奄美の子供たちの音楽水準は大変高く、名のある中央のコンクールの入賞者たちと比べても全く引けをとらない。」
という大変嬉しいものでした。

 昨今、ピディナ、グレンツェンなどの全国的なピアノコンクールが奄美でも展開されるようになってきたため、平成15年2月を最期に、21年にわたって運営されてきた同コンクールは、幕を閉じました。